IPOに見る「相場観」と「投資機会」/後場の投資戦略相場観IPO投資機会

日経平均 : 28791.20 (-256.82)
TOPIX : 1948.75 (-16.92)

[後場の投資戦略]

本日の日経平均は29000円を下回ってスタートすると、200円超の下落で前場を折り返した。なぜか日本では報道が少ないものの、米インフラ計画を巡って早くもさや当てが始まったようだ。インフラ計画と民主党の要求するその他支出案が「一体でないと署名しない」などとバイデン大統領が発言。共和党上院トップのマコネル院内総務が合意順守を要求し、バイデン氏は釈明に追われることとなった。25日の当欄で述べたとおり、独立記念日に伴う休会入り(25日)より前に合意したい事情があったとみられ、今後も財源などを巡って紆余曲折があることは容易に想像できる。当初の2.3兆ドルから1兆ドル規模まで縮小した計画でこの有り様なら、やはり大規模な経済対策は期待しづらい。

新型コロナウイルス感染再拡大への懸念も相まって、世界経済拡大への期待は失速気味なのだろう。日経平均は29000円台を維持できず、また上値を切り下げる格好となった。底堅さを強調していた市場関係者には残念な動きかもしれない。今週は月末月初とあって米6月雇用統計など経済指標の発表が多く、これらの内容を見極めたいという思惑はもちろんあるだろう。しかし、いつも「~~待ち」という説明を繰り返しているうちに、日経平均は4カ月以上も年初来高値を更新できずにいる。

改めて強調するが、仮に強めの経済指標が飛び出してきたとしても、コロナ禍からの回復ペース鈍化や経済対策効果の息切れから「これがピーク」と受け止める向きが増えてきたのが重要なのである。また、先の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受け、「米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に動く可能性がある」と意識された点ももう1つのポイントだ。結果、「衆目一致で」景気高揚に期待することは難しくなってしまった。日経平均は上値切り下げトレンドを脱せず、底堅くとも「アップサイドに乏しい」なら投資家は積極的に買い参加してこない。堅調なのは世界的にインターネットサービスを席巻する米ハイテク企業ばかりである。

相場全体のアップサイド期待が低下している影響を顕著に受けているのはIPO(新規株式公開)かもしれない。6月後半のIPOラッシュ終盤に入り、買い疲れ感も相まって需給主導で初値を飛ばす銘柄は限られるようになった。こうしたなか、前日から人気化しているのが25日上場の日本電解<5759>であり、本日堅調な初値を付けたのがOPS<7699>だ。日本電解は電解銅箔を、OPSはプラスチック製品を手掛ける。公募・売出規模などには大きな違いがあるが、両社共通しているのは新興株として上場しながら大手企業並みの株価バリュエーションで公開価格設定されたことだろう。

つまり、IPO銘柄を積極取引する投資家もバリュエーション重視に舵を切りつつあるということだ。昨年10月までのマザーズ指数の上昇局面では、PER(株価収益率)を100倍超まで切り上げるIT関連のIPO銘柄がざらにあった。それも「市場全体にバリュエーションの一段の向上が期待できる」との見方が背景にあったからこそだろう。こうした期待が薄れつつあるなか、「IPO銘柄の価格設定のあや」に活路を見出す投資家が増えてきたのだと考えられる。

ちなみに日本電解は公開価格(1900円)が仮条件(1800円~2480円)の上限に決まらず、価格決定過程を人気度そのものと捉える向きから「不人気」とのレッテルが貼られていた。しかし、公開価格は需要家(投資家)と発行企業双方への配慮のバランスから決まるもので、「仮条件のどこで決まったか」というのはそのバランスをどのようにとったか考察するうえでの材料の1つに過ぎない。人気度そのものと捉えるのは誤りだろう。今後のIPO改革のためにも、幅広い価格帯を提示して投資家にゆだねるやり方への理解が進むことに期待したい。(小林大純)
《AK》

提供:フィスコ
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