計画、脱炭素の覚悟が見えぬ

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 経済産業省はエネルギー政策の中長期指針となる新たなエネルギー基本計画の素案をまとめた。

 2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減する目標を実現するための計画だ。意見公募などを経て閣議決定する。

 30年度の総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を36~38%と現行の22~24%から高めた。

 だが欧州連合(EU)は30年に65%の目標を掲げる。19%を石炭火力に頼ることを含め、世界の潮流との隔たりが大きい。

 原子力は現行の20~22%を維持した。しかし電力大手の不祥事や地元の反対で再稼働は進んでおらず、実現はほぼ不可能だ。

 素案は国際公約である30年度の目標から数字を逆算した、つじつま合わせの感が否めない。

 政府は脱原発と同時に再生エネの拡充に全力を挙げる方針を明確にし、国内外の投資を呼び込んで安定供給を図るべきである。

 素案は国全体で省エネを進めることにより、30年度の総発電量を現行より1割削減する。

 再生エネについては主力電源として最優先で取り組むと明記し、太陽光を大幅に積み増した。大容量で安定的な発電が見込める洋上風力は、環境影響調査などに8年程度かかるためだ。

 ただ太陽光はこれまでの多数の設置で適地が減っている。地域住民の反対や開発を制限する条例の制定も増えている。

 素案は自治体の促進計画などを支援していく方針を記した。公共施設や住宅、荒廃農地へのパネル設置などについて、より具体的な目標を示してもらいたい。

 原発は重要なベースロード(基幹)電源とした一方、新設や建て替えの推進は明記しなかった。

 次期衆院選を意識したのだろうが、新設や建て替えはもはや非現実的だ。骨抜きになりつつある40年運転の原則も、改めて明確にする必要がある。

 30年度の発電コスト試算で、原発は事業用太陽光を上回った。福島第1原発事故をきっかけに、安全対策費が膨らんでいる。

 原発はいまや高リスクの電源とみなすのが世界の流れであることを政府は直視すべきだ。

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分については、後志管内の寿都町、神恵内村で文献調査を始めたことが記載された。

 第2段階以降の調査への言及はないが進展への期待感がにじむ。地元には多様な意見がある。推進ありきで進めてはならない。

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