明日の株式相場に向けて=米インフラ法案可決を号砲にバリューシフト

きょう(11日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比182円高の2万8070円とフシ目の2万8000円台に乗せて着地した。前日の米国株市場では、バイデン政権が掲げる1兆ドル規模のインフラ投資法案が米議会上院を通過したことが好感されNYダウが最高値を更新。これまでに何回もメディアを賑わした「1兆ドル・インフラ」の話でまたもや景気敏感株が買われたが、理由を探す以前にマーケットが強いというのが今の米国株市場で、結果オーライである。

東京市場も米国のポジティブムードが波及している面があるかもしれない。好決算銘柄は出尽くしで売られるケースも確かにあるが、素直に好感されて大きく上値を伸ばすパターンが本流を形成している。これが今の相場を後押しする原動力だ。日経平均も上値は重いと言われながらも4日続伸、ジリジリと下値を切り上げている。更にTOPIXについては25日移動平均線を上放れ、日足一目均衡表も首尾よく雲抜けを果たした格好となった。

ネット証券などのデータから判断される投資家の体感温度とは結構なギャップがあると思われるが、それは投資マネーが個人好みでない方向に流れを変えているからだ。例えば、人気セクターの筆頭であった半導体関連株に利食い急ぎの動きが目立つようになってきた。レーザーテック<6920>は2万円大台攻防の様相できょうのところは踏ん張ったものの、長期波動の分水嶺である75日移動平均線を下に抜けつつあり、注意信号が灯っている。引き続き22年6月期の営業利益予想で伸び率鈍化が嫌気されているが、タイミング悪く米国の半導体関連株が景気敏感株と入れ替わりで売られたことも影響して、他の半導体製造装置株にも売り圧力が波及している。

これに代わって、海運や鉄鋼株に波状的に投資資金が攻勢をかけている。デルタ株が蔓延していても、今の相場はアフターコロナ・モードなのだ。ただし、動いているから乗るというのでは、足もとをすくわれる可能性がある。業種別チャートで見る限り、海運はここから一段と上値を買い進むのは正直躊躇する場面だ。対して鉄鋼は5月の高値を抜いておらず、同じバリュー株買いでもリターンリバーサル妙味がある。海運で日本郵船<9101>や商船三井<9104>に相当するのが、鉄鋼では日本製鉄<5401>やジェイ エフ イー ホールディングス<5411>ということになる。海運の乾汽船<9308>のポジションに近いのが鉄鋼では三菱製鋼<5632>あたり。同銘柄は7月下旬に当欄でも取り上げている。そして、この鉄鋼に近い業態では鋼材の焼き入れで高い技術を持つ高周波熱錬<5976>が面白い存在となる。高周波熱錬は前週末6日の業績上方修正を受け、週明け10日にマドを開けて買われた後いったん利益確定売りで上値が重くなった。しかし、PBR0.4倍台で3.9%前後の高配当利回りを考慮すれば、目先緩んだところは買い場と判断される。

また、非鉄セクターでは前日も取り上げたが東邦チタニウム<5727>がいい動き。22年3月期業績予想ではV字回復というよりもトップラインの伸びが顕著で過去最高となる見通し。きょうは年初来高値ツラ合わせとなった。これと合わせて出遅れ感の強い大阪チタニウムテクノロジーズ<5726>にも目を向けておきたい。同業態ながら邦チタより業績回復が遅れている分だけ株価の動きが鈍いが、過去20年の年足チャートを見比べてみると驚くほど似ている。少し長い目で見れば大阪チタの水準訂正余地は大きいと思われる。

このほかEV関連では、化学品メーカーでEV電池の受託評価事業に参入しているカーリットホールディングス<4275>が力強い足取りで、目先押し目があれば強気対処してみたい。また、2輪車用チェーン のトップメーカーで、ホンダ<7267>を主要顧客に7割の国内シェアを誇る大同工業<6373>も急動意後に程よい調整を入れており再注目したい。

あすのスケジュールでは、7月の国内企業物価指数が朝方取引開始前に開示され、取引時間中に7月のオフィス空室率が発表される。海外では、4~6月の英国GDP速報値、6月のユーロ圏鉱工業生産、7月の米卸売物価指数、米30年国債の入札など。国内主要企業の決算発表では明治ホールディングス<2269>、日本マクドナルドホールディングス<2702>、リクルートホールディングス<6098>、東芝<6502>、住友不動産<8830>、ヤマトホールディングス<9064>などが予定される。また、米国ではウォルト・ディズニー<DIS>、ドアダッシュ<DASH>などが決算を発表する。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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