夜空|恋人、白い恋人と夜空の星

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さぞかし無念だったろう。2007年に発覚した賞味期限改ざん問題などの不祥事で社長を引責辞任した石屋製菓の石水勲さんのことだ。「このような終わり方は残念だが、受け止めたい」。同年8月の臨時株主総会で退任した時の言葉である▼箱から取り出した商品を新しい箱に詰め替える。返品の山を前に期限を延ばそうと提案する現場の責任者。石水さんのメンツがかかった記念商品。担当役員も承認した▼当時相次いだ食品不祥事に共通する社内事情優先の風土である。だが、疑問を口にすることができない重い空気は企業に限らない。学校で社会で、そして政治の世界で。忖度(そんたく)がはびこる土壌はどこにでもある▼北海道のお土産といえば「白い恋人」。駄菓子屋を道内屈指の菓子メーカーに育て上げた。存亡の危機から奇跡的なV字回復を果たしたのも、即座に一線から退き、外部の人材登用や世代交代を促したことが大きい▼四半世紀ほど前、札幌にJリーグチームを誕生させる構想があった。熱く語った夢は曲折を経て北海道コンサドーレ札幌にたどり着く。一企業経営者の枠にとどまらぬ奮闘が道都札幌を引っ張った▼白い恋人について100年後も愛される北海道の伝統にしたいと語っていた。同社のロゴマークは北の夜空に輝く星をかたどる。常に最上級を目指す高い意志と向上心。石水さんも泉下から見守ることになるだろう。2021・9・29

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